リファクタリング関係の本をいくつか読み終わったあと、なんとなく目につくところにあったので、Beautiful Codeを読んでいました。見た目も中身も、昔からの(動物系のシンボルが表紙に描かれた)いかにもオライリーな本ではなく、読み物系の詰まったいまどきのオライリー本という印象です。
目次を見るとわかる通り、各著者が1章ずつ執筆するスタイルです。おそらく、Beautiful Codeってタイトルの本で何か書いてよ!程度のゆるいテーマで投げられたのでしょう。解釈もさまざまでした。コード自体の美しさの場合もあれば、設計思想である場合もあり、あるいは、筆者のやったことが書いてあるけど何も面白くねえ…という章も。
自分が特に楽しく読めたのは以下の章でしたが、どれが良いかについては興味のある・よく接している問題領域に依存するものでしょう。
- 15章 美しいデザインの長期にわたる恩恵 / CERNのライブラリにおけるコーディング方針
- 26章 労力節約のアーキテクチャ / ネットワークサービスの設計
- 28章 美しいデバッグ / デバッグ手法
章の並び順は気にせず、面白そうなところからつまみ食いしていく読み方をお勧めします。
総括
この本全体の印象に合う表現が、おまけで付いている対談コーナーにある、まつもとゆきひろ氏の発言のひとつにありました。
人によってはどの章を面白いと感じるかは違うと思いますけど、これだけあると、どれか1つは必ず面白いのが見つかると思います。
もちろんこれはポジティブ方向から見た表現ですが、ややネガティブに書くならば、「33あるうち、1つくらいは楽しめるかも」ということ。実際そこまでヒット率(?)が低くはありませんでしたが。とても良いのが数本、まあ楽しめるのまで合わせて、10本くらいですかねえ。
さまざまな言語、幅広い問題領域、OSのメモリ管理からユーザーインタフェースまで広範囲のレイヤーに散らばった話が33本。馴染みのある問題領域の話でなければ意味がない…なんてことは無いですが、著者に近い視線で深く理解できるかどうか、理解できる美しさなのか、はまた別の話。思考プロセスだけ参考にするにしても、問題領域や言語が違ったときに正しいかどうかは結局考えないと。
個人で4000円出して欲しいかと言われると、Noですね。しかし、研究室に一冊・職場に一冊といった存在としては、悪くないのではないでしょうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿