10日目の記事になります。
前職
ちゃんとした裁量労働で、働き方には自由があるところでした。新卒で入った会社で見た「裁量労働だけど朝8:15に来てないと評価ダウン」みたいな、残業カット目的のみの裁量労働ではありませんでした。始業時間の10~20分後くらいに毎日出社して、空いている電車・空いているエレベーターを使っていました。もちろん極端な勤務時間のときは事前申告していましたが、たまに夕方出社することもありました。平日勉強会参加のために早く上がるのは、容易でした。
業務内容は、ネットワークの研究職っぽく新しめの技術調査・検証をしつつ、時々開発も手伝いに行くという感じ。業務遂行者としても、技術者としても、理想的に成長していたと思います。開発に参加したサービス・製品はとても気に入っていたし、所属を明かさないままTwitterで評判を見ていて、とても楽しかったです。会社としても、業界内の争いで善戦していて、快進撃する理想の企業ではなくとも、十分やれている感じでした。理想の職場で、毎日楽しく出社していました。
個人の技術面では、技術調査・読書・実際動かしての検証などにかなり時間を使えました。C言語ちょっと書ける程度だったものが、Java/C++/Scala/PHPなど実戦経験を積み、ちょっと触った程度の言語は多数、そしてTCP/UDPとJVMについて、以前よりはだいぶ詳しくなりました。ついでに、ネットワーク周りの技術情報でまともなものは大半英語なので、副作用としてTOEICは800点台後半になりました。
それで何が問題だったかというと… 昇格ルートが詰まっていたのです。職位の微妙に高い人達がやたら多く、その下から全く上がれなくなっていました。給料がぐいっと伸びる箇所が30代にあるはずが、見込めない。給料もそうですが、職位に紐づいた権限や信用度が得られないことがむしろ問題で、実際火消しの時には根幹の議論に参加するのに、設計に参画するには格が足りない。
人口ピラミッドの構築ミス、すなわち上位に人が多すぎるので上げるわけにいかない状況、使えないのに高給な人間により詰まった状況。似たような話、他社の同世代友人からも複数耳にしています。これが発生してしまった組織ではもう、修正は不可能なのではないかと思います。評価体系か採用の失敗です。前述のような楽しい環境を離れるのはとても苦しい決断でしたが、最終的には退職しました。職場ではなく会社に、修正不可能な部分がありました。
現職
改めて現時点の実績で評価し直された結果、給料は上がりました。転職のオーバーヘッド(賞与評価損・試用期間等)は100万円近くなりそうですが、それを踏まえての今年を見てもそこそこ上がっていました。フルに貰える2年目は結構期待できそうです。
そのかわり、裁量労働を失いました。朝一番混む時間の電車、ビルのエレベーター大行列、今まで馬鹿にしてきたものに参加しているのは屈辱です。遅刻は罰金、かつボーナス減額に繋がるので大変です。もし子供が居たら、パートナーと実家に全部押し付けられる人以外は、収入3割くらい削れると思います。噂では聞いていたけど本当にあるとは思わなかった…。朝の恐怖感で夜には何もできなくなり、2018年、趣味のコーディングも知識補完もさっぱり行われていません。このブログも、今年のAdvent Calendarの前が前年のAdvent Calendarという体たらく。技術系同人誌の執筆量も1/3くらいになってしまいました。全てお金と引き換えになったのだ。人生は難しい。これ大丈夫かな、長期的に見てエンジニアの死じゃないかな、という不安がちょっとあります。
業務上の秘密を公開することはいけないけれども、労働環境周りはもっと情報をオープンに出来る世界であってほしいです。今居る会社のことを検索してみても、現実に近い話は全然引っかかりません。もしかすると消してるんでしょうか。
文化の違うところに来たのは間違いなく良い経験です。しかし、あまり長くはもたない予感があります。転職するのであれば、明確な実績をひとつ残すまで頑張るか、在籍期間を損切りして次へ進むか、あるいは考える余地なく耐えられずに脱落するか。来年も、このアドベントカレンダーに参加しているかもしれませんね。
まとめ
- 昇格詰まりは転職以外で解消できないと思う
- 厳格な労働時間縛りは、予想以上に失うものが大きかった
- 労働条件の共有は進んで欲しい