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2017年6月23日金曜日

TransferJet 転送速度の怪

TransferJetという無線転送規格がありまして。WiFiのFlashAirと同様に、SDカードに組み込まれた製品が東芝から発売されています。
写真は、Interopの東芝ブースでも配られていた、公式同人誌こと"Interface 切手サイズIoT 無線センサ入門" より。そのInteropでにもTransferJetのブースがちょこんとあり、おじさんが一人で説明員していました。TransferJetは近距離だが高速という特性があるはずですが、「FlashAirの新型と比べると、速度が倍くらいしか違わないんだよね…」とのこと。

新型FlashAirの転送速度は、ITmedia系の記事によると、実測で31.4Mbpsとのこと。

しかしここで先ほどの同人誌にある紹介を読むと、TransferJetは560Mbpsとあります。なんじゃこりゃ。ビットとバイトで揃っていないのかとまず思いましたが、東芝の熟練っぽい説明員による「倍くらい」という説明と合いません。どうなっているんだ…

実効値、実測値 

これに気付いてから、再度Internetを彷徨い見つけたのが、以下の記事。[PR企画]と記載がある、半公式のプロモーションといえるものです。
これによるとまず「理論上、最大実効スループットが375Mbps」です。かなり大雑把に削られています。1/3が誤り訂正符号等なのでしょうか…。いきなりガッツリ削られましたが、しかしまだ10倍以上速いはずです。ところが…いきなり一番下の実測結果を見ると、動画転送で約41.13Mbpsとあります。なんと1/10です。ひえー。「さすがに最大実効スループット375Mbpsには到達しなかったが、十分な速さであることは確認できた」ってコメントが笑えます。数字は後で埋め込むことにして、文章を先に作ったんでしょうか…。
その後TransferJet搭載メモリーカードはファームウェアのアップデートがあったようで、だいたい66Mbpsくらいの実測値が得られているようです。これで第四世代FlashAirに対して倍くらいのオーダーで、TransferJet説明員の「倍くらいの差」という説明と符合しますね。
それでもこれを560Mbpsと宣伝するのはどうなんでしょう。まあ最近はWiFiも携帯電話網も、理論限界と実転送速度との乖離はどんどん大きくなってはいますが、しかし。

用途と未来

もはや使い道がなさそうに思えてしまうTransferJetですが、どうやら10倍程度の速度が出ることになっている次世代規格があるようで、そこで復活はあるのかもしれません。
また現行でも、WiFiのFlashAirと比較して「接続をセットアップする手間がない」「WiFiが混雑している場所(コミケやMaker系イベント)でも大丈夫」という利点があるようです。説明員のおっちゃん、こういうの説明しなきゃダメでしょ。開発部隊だと、意外と用途には無頓着なのかなあ。

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